このテーマは、紅茶にまつわる物語です。
紅茶の品種や色々なトピックを「物語仕立て」で掲載しています。
主に、セイロン、インド産紅茶といった ’County origin’ の
茶葉から、’Flavored Tea’(フレーバード・ティー) や ’Chai’ (チャイ)
まで各話のテーマとしていろいろ話をしています。

掲載履歴

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新緑の季節に幻の紅茶の香りを ~ 第7話

日差しがまぶしい季節がやってきた。
最近は東京都内へ出かける機会が少ないが、湘南新宿ラインで湘南から大崎へは一本で行けるので大変便利だ。
大崎ゲートウエイ・エリアは十年以上前とは全く様変わりして駅の周辺は高層ビルがニョキニョキ筍のように乱立している。
どこか殺伐とした新宿の高層群と違い、この辺りはビルの谷間に緑が多い。
そんな高層ビルの一階にはオープンテラスのカフェやレストランが多く並んでいる。
どことなく丸の内のカフェエリアのような都会的な雰囲気を漂わせながら、緑の中でゆったりした空気が流れている。

ビルの谷間をのんびり歩きながら散歩をするのには最適な空間をすごせるステキな区画。
晴れた日は痛くなるくらい若緑が目に飛び込んでくるくらい明るいが、さわやかな風と木々が大きく木陰を作っているのでジャケットを着ていてもそれほど暑くは感じない。

そんな前をいく視界を、光を反射してシルバーに輝くビルとずっと続く緑の街路樹が半分ずつを占めている。
エスカレーターを通って広い下の道へ降りると、辺り一面鮮やかな新緑の森に突然放り出されたみたいだ。
少しカーブしたビルの谷間を歩いていくとだんだん道幅が狭くなってくる。
遠くで行き止まりみたいに見えるその道の端は広い別の道にぶち当たっていた。

そんな通りの行き止まりともいえる場所に緑のひさしの小さいお店が現れた。

実はわざわざこの街にきた目的は、茶葉を買うため。
私の紅茶買い出し紀行は普段は横浜や湘南エリアが主なのに、何故今回東京かというと私がほしいインド紅茶は湘南エリアにあまりないから。
もちろん、一部横浜方面にはちゃんとした取り扱いがある店舗もあるのだが。。。

横浜・湘南にはセイロンティーの良質な茶葉が買える店がとても多い。まさにセイロン王国だ。
だが、インド紅茶というとチェーン店が主体になる。
ルピ○○とかはシングルオリジンエステートの茶葉を求めるのにも比較的良質な店なのだが、WEBでは見かけても実店舗には在庫切れだったりしていることが多いので、直接仕入れの専門店や卸売りもしているような店の方が物があったりする。そして一番よいのは比較的コスパがよいものを買えること。
まるで大阪人のように良いものを「これ安かったんや」という買い物が好きなのだ。

直買い付けの会社は、現地とのコネクションが強いところもあるので一般の買い付けで見られないカスタムな茶葉も仕入れることができるのが強み。
シングルオリジンの農園茶葉で、ダージリン キャッスルトン農園のDJ-1です!的なものを売りにする銀座や関西の会社はブランド志向で高値で売られているので、それは戦略としてありなのだと思うが、「だから一番おいしい」ということでなくとことん個性を極めたい方のためにあるように感じる。
まるでボルドーの5大シャトーやDRCのワインどれだけ飲んでいるかに固執するのと同じように感じる。
紅茶に限っていえばロット限定の茶葉は個性がありすぎて「当たれば最高 はずれたら涙」なところがある。
だから今年のLOT○○とLOT○○のブレンドでと言って買える業者の方が、好みがわかれば安心して買いに行けるお店になる。

ブレンドでも店によってシルバーチップやゴールドチップだらけのような夢のような“エクセレント・クオリティ“なものもある。そういうコスパの最高に高い紅茶を手に入れると一日しあわせになれる。
ブレンダーの方に、「いい仕事してますねェ」と言いたくなる。

今回のお目当ての一つは、”幻の紅茶”ともいわれる「SIKKIM(シッキム」。
ネパールとブータンに挟まれた古えのシッキム王国で栽培されている紅茶。

行った時にはシーズナブルなものはすでに売り切れでなかったが、オールドシーズンのものはまだ在庫が売られていた。

家に帰って後日シッキムを淹れてみる。 




一煎目:2分半~3分ほどでストレート。さすがダージリンより王族の風格をまとった上品な甘さ。
二煎目:3分から4分弱でいれるとさらに甘さを感じる。
    渋みを心配したが、全く澄んだ味のまま。紅茶を淹れすぎたときにでるタンニンの
    渋みが出てこない。
    さらにミルクをいれてみると元々のミルク臭に似た味があるため相性は悪くない。
三煎目:ガラスのティーポットいれて水出しをしてみる。
    何もいれなくても茶葉自体からでる甘味のあるアイスティーは、いままで飲んだ
    他の産地の何処の農園の茶葉でいれたアイスティーよりダントツ。




普通なら三煎目は出がらしになるはずだが、熱い日には嘘みたいにおいしい。
こんな飲み方ができるなんて”幻の紅茶”の看板に偽りなし。 

実はシーズンブルないい方のシッキムも後日入手したが、これはお世話になった知り合いへのお持たせ用。
自分では飲んでいないので、想像でしかない味。そんな期待をもったままなのもいいね。

他のインド紅茶は改めて次の話で。

sikkim FTGFOP1

【シッキム(インド紅茶)】

インドティーの生産地は、主に北部山岳のダージリン地方産と低地のアッサム地方産が主であとは南端高地のニルギリの産地になる。
北部にはダンクタ地方(Dhankuta)やドアーズ、など生産量が少ない他の地域も存在している。
そんな希少産地の中でダージリン州の北にあるのが現在では単一農園となった「テミ茶園」でとれる“シッキム(Sikkim)”。

ファーストノットは甘い香り。どこか阿里山の茶葉のような澄んだ香りの中にライチを思わせるようなさわやかで甘めのフルーツ香がします。
ストレートをお勧めしますが、ミルクを少し入れると上品な甘みが引き立ちます。

(注)茶葉のクラス
OP=オレンジペコーは細長く美しい針状の葉を指します
BOP=少しカットされた抽出が早めの葉
それにさらに品質を示す略称がつき、
F(フラワリー)OP<TG(ティッピー・ゴールデン)FOP
<F(ファイン)TGFOP<FTGFOP1(同一グレードからさら厳選)
<S(スペシャル)FTGFOP1
というようにグレードを示す記号が表示されています。

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MIF か MIAか ~ 第6話

「僕は、ミルクは先に注いでおく派でね。あ、ミルクは少し温めておいてくれ。」
「なんて下品なんだね、ミルクは後で好みの量を優雅にいれるものだ。」
イギリスで長い論争だったブラックティーのミルク入れ方。

130年続いた論争は、あるニュースで鎮静化するかに見えました。王立化学協会が「MIF(ミルクが先)」のほうがおいしい入れ方と発表したからです。

長年の論争ですから、化学的なといわれても納得しない人もいて完全に収まってはいないようです。

個人的はなんとなくMIF、MIA(ミルクが後)は使う紅茶や気分でバラバラ。
でも店でMIFでやられると、ムッ!!!とします。やはり個人の自由が一番です。
日本でもある「目玉焼きには醤油、ソース、塩コショウだけ、いやケチャップだろ」と同じような論争です。醤油派の人の皿に“ソースかけてあげる”なんてされたら、激おこになりませんか。場合によっては相手の人格否定にまで発展したり。

似たようなことにスコーンにはクリームが先かジャムが先か論争。「デボン地方のクリームが先」と「コンウォール州のジャムが先」かについても、2013年にニュースで ”王室はジャム先らしい” という話や、ホテルリッツはジャム先が伝統 とかのコメントがでてジャム先派が優勢のようです。
わたしは、・・・ 「だんぜん クリームが先派です!」

・ストレート・レモンティー・ミルクティ

飲み方とどのようにして飲むのがよいか聞かれることがあります。
個人的は、「AS YOU LIKE IT(お好きに)」

茶の木は、ツバキ科ツバキ属で基本同じです。学名「カメリア・シネンシス 」のこの木は常緑樹なので、年に何度も収穫され「いつどれの葉か」で値段が変わったりします。
ダージリンでよく聞く”ファーストフラッシュ”、”セカンドフラッシュ”という春摘み、夏摘みというやつです。
摘む時期で、さわやかな澄んだ香りとか甘みがある味とか表現される違いになります。
もちろん栽培される農園のくせのようなものがありますので、同じ”ファーストフラッシュ”でもその特徴は変わってきます。

気軽に飲み比べしてみるには、量販店で店舗数の多い「ルピシア」などで購入されてみるのもよいでしょう。(私は特に利害関係はありませんので、お好きな店舗があればそちらで購入されるのが一番でしょう)シーズナルな商品(季節限定商品)を出されているところであれば、鮮度や生産年での違いもわかるので良いと思います。

【LUPICIA】THE DARJEELING TEA 紅茶の最高峰 ダージリン | 世界のお茶専門店 ルピシア ~紅茶・緑茶・烏龍茶・ハーブ~

chai tea with cinnamon

【紅茶の品種】

種としては、大別すると以下3つ
(ほかに固有種や交配種があるので目安)
・中国種 - 中国南西部栽培されるもので日本で
       緑茶にもなる種
       どちらかというとストレートが合います。
・アッサム種 - アッサム、スリランカのローグロウン、
         インドネシア、ケニアの栽培種。
         比較的ミルクティに合うと言われます。
・クロナール種- ダージリンやスリランカでハイグロウン
         で生産される栽培種。
         中国種などの他の種から挿し木で
         品種改良されたもの。
         日本のお米みたいですね。
         ストレートやレモンティーで飲むこと
         が多い。

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砕かれた紅茶はスパイスと共に ~ 第5話

イギリスに向かう東インド会社の帆船、カティーサークが港をでていく。船には紅茶が満載され、本国イギリスへ向かっていく。
そう、紅茶生産地のインドやセイロン(スリランカ)は、イギリスの元植民地だ。
インド人はもともと紅茶を飲む文化はない。イギリス人につられて飲むようになっただけ。立派な大きな茶葉がはいった高級品は、インドやスリランカには残らない。

現地人は、余り物のダストと呼ばれる細かい残り物しか飲めなかった。だから混ぜ物をしたチャイやマサラティ。今も甘いチャイが現地の主流の飲み方だ。

わたしは、基本茶葉から紅茶を淹れる。そういう場合使う茶葉は大きなものになる。
CTCのような細かくクラッシュしたもの(ブロークン)は、早く飲むためのティーバッグ用のように思っている。
でもチャイを飲むときは、CTCのものを使う。CTCは、インドで生まれた製法で「Crush(つぶす)・Tear(裂く)・Curl(丸める)」の頭文字だ。煮だして飲むチャイやマサラティーにはこちらの方が最適になる。
わたしのチャイ系の淹れ方は、自分流でこんな淹れ方だ。

1.手鍋でお湯をわかす
2.チャイ用にスパイスがブレンドされた茶葉をいれる。ぐつぐつ沸騰で煮だす。
3.一度濾して葉っぱを除く
4.別にミルク(or豆乳)を温める。沸騰はさせない。
5.温まったら、紅茶を投入して混ぜる。
6.一、二分かき混ぜたらできあがり。


マサラチャイにするなら、2の段階でシナモンスティックを足していれてもよい。
最近は、すでにスパイスをブレンドされたチャイ用の茶葉がいろいろ売られている。
もちろん自分でクローブ、シナモン、カルダモン、ジンジャー、ナツメグで用意して
お好みの比率でブランドしてもよい。
コーヒー豆のように、木や石のボールにスティックでゴリゴリするのが癒しだという方もいるでしょう。
でも現地式の砂糖をたくさんいれる飲み方はカロリーが高いので糖尿や肥満を考え少量にとどめるのをお勧めする。
私はいれないけど。。。

chai tea with cinnamon

【チャイ、マサラティー】

スパイスをまぜるため、紅茶葉はそれほど高級なものを使わなくて済む。
ただ、スパイスに負けないように、インドならアッサム、セイロン(スリランカ)産ならコクがあるウバのような産地でCTCの茶葉を使うのが適しています。
BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)を使うのもありです。

【チャイと映画】
「エンドロールのつづき」(2023年)
インド人のチャイ売りの子供が映画作りに憧れる実話に近い話

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マリーアントワネットの紅茶 ~ 第4話

一瞬フランスの中世の農村に迷い込んだような錯覚になる。

古びた小屋のような民家と畑が目の前に広がる中、土の小道をどこかの貴族の奥様に使える女中のような服をきて買い物袋を肩にかけた日本人の妻が歩いている。
ここは、入口から金ぴかな門の向こうのベルサイユ宮殿のはず。。。あのフランス・ルイ王朝の宮廷文化華やかなりし爛熟のロココ様式の中心地。

日本では高級デパートにはいっている「マリーアントワネット」の名前を冠した紅茶。
NINA’S PARIS の丸っこいピンクの缶にはいったフレーバードティは、女性の人気を集めるブランド・ティーの一つ。パリのヴァンドーム本店で買いたかったですが、わたしは由来にちなんだベルサイユ宮殿で買いました。

紅茶には、大別して茶葉のみを使ったものとフルーツや花の香りに主体をおいたハーブティーがあります。イギリスのブランドにはアールグレイのようなフレーバーミックスなものはあってもブレンドはわりと茶葉の味そのものを全面にしたものが多いようです。
庶民は、フォートナム&メイソンやハロッズで買ってくるわけでなく、各家庭でうちはCLIPPER、YORKSHIRE、PG Tips、Tetleyといった大衆向きのティーバッグタイプをパック買いして飲んでいるようです。

一方、フランスやドイツはハーブティーを飲む文化がありその種類はとても豊富。こちらがメインである気がします。
日本にも、フォション、マリアージュ・フレール、ダマン・フレールといったフランス勢と共に、ダルマイヤー、ロンネフェルト、ティーカンネといったドイツ勢がはいっています。
知名度、高級感はどちらかというとフランスに軍配が上がりそうです。
ミュンヘンのダルマイヤーの店舗など王室御用達らしい落ち着いた雰囲気の漂う格式あるお店なんですけどね。
やはり、日本では ”おフランス” の方が貴族的で高級感を感じるのでしょうか。

先のNINA’S PARISの「マリーアントワネット」は元々香水メーカーだけあって香りにはうるさく、薔薇とベルサイユ宮殿農園のリンゴの香りにこだわった一品です。
あの穏やかな風景の広がるプチ・トリアノンの奥の田舎の農村。そこで野菜や果物を育て田舎の生活に安らぎを感じていたマリーを想うと、強すぎる香りにも哀れを感じる。マダムカぺーになる前に故郷に帰れたら首チョンパされる前にフェルゼンと一緒にもっと長生きできたかもですね。
リンゴが他と違うスパイスになって独特のフレーバーになっているのが、一目置かれている由縁でしょう。
ベースはセイロン茶葉。でも彼女の生きた時代にもこの缶あったかなあ。

nina の Marie Antoinette

リンゴの甘い香りの
フレーバーティー

【フレーバード・ティ】

特に茶葉の産地にはこだわらず、花や果物の香りに重きをおいた紅茶。
ここでは紅茶を使わないハーブティとは分けて考えます。
ブレンドが販売生産者主体で行われるため農園より作っている販売メーカー名で販売取引されていることが多い。
日本での有名どころは、ベルガモットをつかった「アールグレイ」(厳密には香料をつかったもの=フレーバードティーと、果皮など自然素材から香りを移したもの=センティッドティーに分かれる。ここではフレーバード・ティーで統一した)が代表格の一つ。
花、フルーツ、香辛料をブレンドしたものも多い。種類は多種多様。

香りが強いものが多いので、好き嫌いが分かれるお茶だ。

いろいろなMIXの違いを知りたい、ベースとなる有名茶葉の味の違いがしりたいという方には、まずはルピシアのようなメーカーさんやフランス・ドイツのフレーバーティーが充実している会社の商品が最適だと思います。

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午後の紅茶とティーワッフル ~ 第3話

その店は藤沢の駅前から少し離れた小さな公園の向いにあった。
知らないとなかなか気づかないビルの二階だったが、紅茶好きにはあまりにも有名でいつも紅茶や甘いものを楽しみたい若い方から中高年の女性客やカップルでいっぱいだった。

お店の名前が「ディンブラ」と聞けば、店主のセイロン産紅茶へのこだわりが一見してわかる。
白を基調としたある程度席数もある広い店内には、紅茶だけでなく名物の紅茶のシロップを添えたティーワッフルを目当てにしているお客さんも多かったのではないだろうか。

今は亡きお店の店主”磯淵猛”氏は、誰もが知っている某ドリンクメーカーの大ヒット「午〇の紅茶」のティーアドバイザーであった方。
今でも“○○茶葉使用“をラベルにうたっているのは、茶葉に誇りをもっていた磯淵氏の
教えがあるのでしょう。
いつしかお店もその場所から姿を消し、ひっそりと江ノ島の近くのこじんまりした店舗へ引っ越してしまった。
店が越してすぐの頃に訪問してみたが、正直紅茶のサーブの仕方を見て名店が一つ消えたかとすごく寂しかった。
ちょうどMIA、MIFで論争に一定の判断がでた後だったからその影響があったのかもしれぬ。
MIA、MIFとはミルクティで「ミルクを後入れ(MILK IN AFTER)か先にカップに入れておくか(MILK IN FIRST)」の長年のテーマを指す。このレポートのあと支持されたMIF派が喝采を送りこちらが主流だと言われています。
私は前から ”店ではMIA 自宅は茶葉によってMIA/MIF”でしたが。だって店のサーブスタールによってはMIFは面倒な場合が多いから。
個人的な意見で言わせてもらうと、純粋に茶葉の香りと味わいを判断するにはまずストレートで
飲まないとわからない。そうなると先にイギリスで多いミルクを先に足されているのは好ましくない場合がある。

だいぶ経ったあと江ノ島へ行く機会があり立ち寄った所、サーブをみて「あー肩の力が抜けたのかな」と少し安心。今では昔の店のレベルに復活するのを楽しみにしている。

【ディンブラ】

セイロン7大産地(ディンブラ、ウバ、ヌワラエリヤ、キャンディ、ルフナ、サバラガムワ、ウダプセラワ)の一つ。標高1,200m前後の高地栽培のハイグロウンティの一つ。
華やかな香りでアロマを楽しむヌワラエリヤに対して、コクと味わいのディンブラと評価される。
写真は、BOPのシングルオリジンエステートの茶葉で芯芽(チップ)を多く含むため、豊かな香りも持つ。
※BOP・・・ブロークンオレンジペコー
インドのアッサムと同じでコクのある味わいが特徴。穏やかで上品な香りと深いコクが味わえる茶葉。
ストレートもよいが、個人的にはミルクティーにして飲んでほしい。

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銀のトレイと氷河鼠の毛皮 ~第2話

銀河鉄道で有名な宮沢賢治の「氷河鼠(ひょうねずみ)の毛皮」という話がある。その中でイーハトーヴの住人が紅茶を所望すると、銀のトレイにカップを載せ紅茶をサーブしてくれる。どんなトレイだったのだろう、イギリスらしく古びた年代物のトレイだったのかもしれぬ。

湘南エリアには、住宅街にある小さな個人経営の紅茶屋さんが多い。
その中には道具にもこだわりをもった店主の営むカフェもある。
クリームティを提供するこの店は、イギリス式の紅茶サーブにこだわった店だ。
その日は、海岸沿いのドライブカフェに行こうと住宅街を歩いていた。
ふと右手を見るとクリームティとの張り紙。文字につられて、細い路地にはいると
普通の民家に看板が見えたので入ろうとしたが、入ってよいのかわからない。開いた玄関から廊下が見えたのでおそるおそる靴を脱いで上がって奥に進んでみた。奥のドアを開けてこんにちはと声をかけるとご亭主がいらっしゃった。靴を脱いでいるのを見て「そのまま土足でよいのですよ」。 いやはや小さい張り紙があったのを見過ごしていた。
洋風のリビングのたたずまい。クリームティを頼もうとしたが、あいにくスコーンが売り切れ。がっかりしていると、せっかくいらしたのだからとお菓子も添えてサーブしていただきました。ご主人の趣味のジャズなどのレコードがありレコードプレーヤー。「なにかお聞きになりますか?」レコードですか・・・風情がありますね・・・と、 えっ、ベルトドライブ方式のプレーヤー?! え、現役? とチョーおどろき。「パーツがなくなったら終わりです」レコードファンの人がいたらそっち目当てでくるでしょうね。
かけてもらうと静かな居間の空間がアナログの生っぽい音で満たされます。
紅茶は、豪華なピカピカの銀トレイに銀ポットなどの銀食器でやってきました。ご主人のコレクションでサーブしていただく、優雅なイギリスの田舎のAFTERNOON TEAといった感じです。
これが真冬の北風が吹く季節でガタガタ窓がなっていれば、「氷河鼠の毛皮」の世界観を彷彿させる情景だなあ。プラネタリウムの「銀河鉄道の夜」聞きながらお茶をしたら最高。
列車には乗ってないけど。

【アールグレイ】

ベルガモットを使う柑橘系の香り付け紅茶で、フレーバードティーでは著名なブレンド。
人工の香料をつかった安いものもあるが、天然のイタリアのカラブリア地方で栽培されるベルガモットを使った香り豊かなものをぜひ飲んでほしい。
使用する茶葉は、今日ではインドのダージリンやアッサムかセイロンの茶葉を使用したものが主流。もともとは、映画「Phantom Thread」でデザイナーの主人公がこだわったスモーキーなラプサンスーチョン、キームンといった中国茶葉とブレンドされていた。
イギリスなどではストレートで飲む認識があるようだが、ミルクティーにしてまろやかな味を楽しむ指向もアリだと個人的には思う。
柑橘系なので、アイスティにしても合う紅茶です。

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紅茶とわたし ~ 第1話

「いにしえの街 京都」の出町柳にほど近い 今出川をすこし下がったところにその店はあった。
「出町輸入食品店」
繁華街からは離れているためか、コーヒー豆を比較的安く買える学生の懐にも優しい店としてコーヒー好きの間では知られていた。
当時住んでいた上京区の予備校寮に近く、歩いて行ける便利な場所。
わたしがコーヒーをよく飲むようになったのは、同じ寮の仲間であるM君の影響である。
彼は大のコーヒー党で一番のお気に入りはブラジル豆であったと思う。
彼から豆のひき方やおいしいコーヒーの淹れ方を伝授され、いっぱしのコーヒーマニアのように蘊蓄を語れるようになった。
予備校という次の年は受験を控え、不安をかかえて合否で天国と地獄に分かれて巣立つ一年だけのモラトリアム。
今にして思えば、ほろ苦い思い出となった時間を凪(なぎ)の季節のなかで寮の仲間たちと共に私は京都で過ごした・・・
そんな私がいつから紅茶を好んで飲むようになったか、なぜか記憶がない。
大学に通うため上京した後、東京といっても西のはずれにある八王子に住んでいた。
当時、コーヒーのうまいカフェは多かったが紅茶をちゃんと飲ませる、そして茶葉も売っているおいしい紅茶館はほとんどなかったと思う。すくなくとも都内の青山や原宿のようなおしゃれなエリアには縁のなかったわたしには、そんな店を目にすることがなかっただけかもしれないが。なにせインターネットもない時代で情報をすぐに手に入れることなど夢のような頃だったから、いまでいう正に情報弱者という立場に多くの人があったわけだ。

八王子にも一軒紅茶専門店があったが、そこで時々葉っぱを買って家でいれて飲むくらいで、紅茶の知識はほぼ皆無(笑)に近い。
だから、この時期に紅茶に詳しくなったはずはない。
その後、関西にもどった後も宇治というお茶の町にはいたが、紅茶には縁が薄い。
当時、和紅茶なんて言葉もジャンルもなかったし。

その後再度上京して新宿の近くに住んだ頃も、横浜に住んでいた頃も紅茶を深くたしなむことはしていなかった。
なのでごく最近ということなるが、結婚して鎌倉に引っ越した後? いやその前には茶葉の蘊蓄を語る位の知識は多少ともあった記憶がある。
やはりわたしの中で紅茶好きになったきっかけは何故か欠落している。

それでも、わたしは今日も大好きなヌワラエリヤの澄んだ香りを嗅ぎながらアフタヌーンティよろしく、紅茶を淹れて飲んでいる。

【ヌワラエリヤ】

スリランカ(セイロン)を代表する7大産地のひとつ
島の中南部ハイグロウン(標高1,300m以上)の製茶工場で生産される紅茶に属し、涼しい気候と日夜の寒暖差によって生まれる、高貴でフラワリーな香りが特徴。
この茶葉は、ぜひストレートティで飲んでほしい。

写真は、ペドロ農園のシングルオリジンエステートの茶葉。
アフターは、レモンを思わせる柑橘系のさわやかな香りが鼻をくすぐる高地産らしい一品。
この農園は一部ラバーズリーフ農園を含んでおり、その名前は近くにある”Lover’s Leap Waterfall”から王子と若い下層の女性の悲劇的な恋の伝説に由来している。

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© 2026 writer:ICHISAN